Ethermineが1GWeiのTXをブロックに取り込んだ件を考える
本題に移る前から、まず基本的な話からしよう。
前提として
まず、マイナーとマイニングプールはよく混同されて認識されているので、これを解説していこう。
これはおそらくマイニングしたことないのが原因の一つではあると思うので、
学習目的のマイニングをすれば早い・・・と言いたいところではあるが、
マイニングソフトウェアはよくウイルスと誤検出されたり*1
バッチファイルを作って、それにコマンドラインオプションを入れたりする必要があったりして、初心者には難しい。そのため、そのようなことをしたことがない人のために、まずこの記事である程度解説していこうと思う。
マイナーというのはこの記事では、実際にマイニング機材を保有し、自分で運営する者(人・企業)を言う。これはわかりやすい。ではプールとはどういうものか?
プールは、マイナーは一人でマイニングするのは難しいため、複数のマイナー(1000以上とか、1万以上、10万以上のマイナーがいるプールもある)が同じプールで掘ることで、報酬を平均化したり、もしくは仮に自分がブロックを発見しなかったとしても報酬を得られる、組合みたいなものである。
基本的に今はマイナーはプールでマイニングするのが主流である。というのも現在はマイニングを一人で行うことが難しくなっていることが大きい。(とても多いハッシュレートを持っている場合などは、自身がマイナー兼プールになることがある、これはソロマイニングと言われる)
実際のところ、プールはマイナーからジョブを受け取り、これを処理し、その報酬をプールからもらうことになっている。
また、プールも複数あり、それぞれ報酬分配方式や、手数料等が違ったりする。
マイナーは自身の考えなどに応じてプールを決めることになる。
また、ブロックはプールの名義で作成される。そのため、Segwit投票等の投票権はプールが実質的にもっており、どのようなTXを取り込むかもプールが決める。
本題
では本題に移ろう。
先日、下記の画像のように、EthereumでEthermineなるプールが1GWeiのTXをブロックに取り込んでいるという話があったが、
ブロックエクスプローラーでEthermineのトランザクションをよく確認すると、
Ethermineが取り込んでいる1GWeiのTXというのは、
自身が出したTXであるとわかる。
このTXについてはこちらで確認できる。
https://etherscan.io/tx/0xe8e677cc3faf658534bd2dc74f9f89de5300bbd80ccca44e9400953b47c58471
これはどういう理由でこのようなことをしているのかというと、そもそも送金手数料というのは、特にTXが混雑している場合に手数料を上乗せして、早くTXをブロックに取り込んでもらうためのものとして使われるところが大きい。
しかし、自身でブロックを掘れるなら話が別である。
自分でブロックを掘れるなら、それこそ手数料など最低限のみあれば良く、むしろ他のプールに掘られることは、損失である。(本来無料で送れるはずのものが無料で送れなかったという意味なので)
そのため、Ethermineはこのような手数料がとても低いTXを発行し、自身でブロックに取り込むことによって費用を抑えているのである。
ただ、あまりブロックが掘れないプールではこのようなことをすることは少ない。
Ethereumは10~20秒に1回ブロックが掘られるが、そのEthereumのハッシュレートの2割前後、つまり1~2分程度に1回ブロックが掘れるがゆえにこのようなことをしているのだ。
BTCの似た事例
また、BTCの手数料が高騰しているときに、TX accelerator(トランザクション加速器)なるものを使った人がいるかもしれない。
下記の画像はViaBTCの提供するものである。
これはどうしてViaBTCが提供できるのかというと、ViaBTCはプールであり、自身でブロックに取り込むTXを選択することができる。そのために、このようなサービスを提供して、仮に自身でブロックを発見した場合にTXをブロックに取り込むことができるようになっている。
これも、Ethermineと同じように、プールは自身がブロックに取り込むTXを選択できる権利があるためである。おそらくこれを副収入としているのだろう。
ただし、ほとんどの場合これらは非常に金額が高く、なるべく使わずに済ませるべきである。*2
このように、プールはTXを選べるので、いろいろなことをして費用を節約したり、もしくは収入源を増やしたりしている。
なので、先述のように手数料の低いTXをブロックに含めることををプールがするのは、何か人々を混乱させるためにやっているのではなく、経済的合理性に基づいて行っているのである。